アイデアの出し方 その3

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え?、かなり間が空いてしまいましたが、『アイデアの出し方』のお話の続きです。
 

前回のその2では、算数を使ったアイデアの出し方の中で、足し算と引き算を使った手法について書きましたので、今回は掛け算と割り算を使った手法についてお話します。
 

順番どおりに行くと掛け算からになるのですが、恐らく、先に割り算を使った手法について触れた方がわかりやすいと思いますので、割り算を先にします。
 

割り算ですから”割る”つまり”分割”するわけです。分割というとまず「ローン、月賦」が思い浮かびますが、確かに支払いを分割することも買いやすくするひとつの手法ではあります。
でも、それは特別目新しくもなく、今の時代、アイデアってほどでもないですよね。じゃあ、何を分割できるでしょうか?
 

わかりやすい事例を挙げますと「パートワーク形式」の書籍です。
 

分冊方式とも呼ばれますが、要はあれです、毎刊少しずつのパーツが付いていて、それを組み立てていくと戦艦やF1マシンの模型が出来上がるというやつです。これなどは、元々ひとつの模型として商品的に成り立つのですが、あえて分割することで買いやすくし、また、模型を組み立てるという楽しみやそれに費やす時間を分割してくれています。

模型とは言え、ターゲットの大人といいますか、お父さん方で、子供向けの模型とは違い、経済力はあるけど、ワンパックになった模型では、それを組み立てる時間もなかなか取れない面もうまくカバーしていますし、おもちゃ店や模型店ではなく、本屋さんで売っているというのも、お父さん方には買いやすいでしょう。しかも、大体、創刊号は安く設定してあるので始めやすく、分割してあるので、途中で挫折してもいいかな、と思わせます。
元の品は模型でしかありません。模型なのでガンダムなどのように人気のジャンルや、ミリタリーものやスポーツカーもののように確立されたジャンルもあるのですが、その枠でのアイデアを飛び越えたアイデアですよね。


では次に掛け算を使った手法です。
 

商品といってもその性格や特徴は様々で、弊社のお客様の商品を例にしましても、食べ物や化粧品のように消費すれば無くなり、リピートの発生しやすいしやすい商品もあれば、逆にひとつの家庭で1個、もしくはひとり1個あれば充分という商品もあります。
例えば、歯ブラシなんかはひとりに1本あればよく、どんなに自分にとって使い勝手の良い歯ブラシであっても、何本も持つ必要はありません。

ネットで調べて見ますと、あるアンケートの結果で、歯ブラシの使用期間でもっとも多かったのは1ヶ月間でした。つまり、一人の顧客に対し、1ヶ月に1本、年間で12本しか歯ブラシは売れないのです。もちろん、個人差はあるでしょうが、デイリーやウィークリーに売れるものではありません。
 

では、歯ブラシを年間平均の12本以上売るにはどうすればいいでしょう?
数本まとめて少し安くして売るというのはナシです。それはちょっと寂しいアイデアですし、次回の購入機会を先延ばししてしまうだけです。
 

ポイントは使用期間に関係なく、買いたくなるようにすればいいのです。
そんなアイデアのひとつとして、歯ブラシのデザインに掛け算を用います。
 

例えばAKB48のメンバーのデザインが組み込まれた歯ブラシを隔週で1デザインずつ販売すれば、ファンの人にとっては、歯ブラシはただの道具としての商品ではなく、コレクションアイテムに変化するでしょう。歯ブラシの柄の部分がマスコット的にデフォルメしたデザインになって、というような感じです。
ファンじゃない人にとっては特別魅力はないでしょうが、ファンの人の歯ブラシ購入個数はぐっと上がるはずです。しかも、あれだけの人気グループですから、ファンの人数もバカに出来ません。
 

まぁ、例ですので、実際に商品化出来るかとかは置いておいて、ポイントは掛け算を用いることで、商品の性格を変えることが出来るってことです。これは割り算にも、足し算や引き算にも言えることですが、今ある商品を何で掛けたり、割ったり、足し引きするかがポイントです。
それは、時間であったり、ラインナップやシリーズ的なものや趣味的要素、年齢、性別、職業などなど、あてはめられるものは沢山あります。
それは無限のようにも思えますが、ある程度のパターンがあります。

ですので、次回はその組合わせ方のパターンについてお話したいと思います。

プランナー:竹田